昨晩のユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長は、何だったのだろうか?
この「失言」によって、マーケットは再びリスク・オフになりかけている。
キプロスの救済策について、ユーロ圏の銀行危機を解決する際の「ひな型」になる可能性があるとの爆弾発言。
マーケットでは、キプロスは小国であり、これは例外中の例外の対応と理解されていたなかで、あえてこう述べてみせた。
本日の東京時間では、彼はアホだと愚かだの、新人には任せておけない、などと誹謗中傷の嵐。
だが、はたしてそうなのだろうか?
欧州はこれから銀行同盟など乗り越えていかなければならないハードルはたくさんある。
経済環境は低迷しており、ここもとのユーロ高により、さらに減速感が強まっている。
何か経済を下支えする武器が欲しいところだ。
グローバル経済の中で、即効性があるものの、禁じ手として理解されているのが、自国通貨安に誘導することだ。
先般も、G7において、アベノミクスは自国通貨安政策なのかとの疑いが高まったことは記憶に新しい。
日本の政治家の口先攻撃も、これ以降、事実上は封じられている。
それくらいグローバル経済においては、神経質に対応しなくてはいけないのが通貨安誘導だ。
そこで気になるのが昨晩のユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長の発言だ。
彼を愚かだと断じることはたやすい。
たしかに「失言」にみえる。すぐさま訂正されてもいる。
ただ、その理解で正しいだろうか?
これは巧妙に仕込まれたユーロ安誘導ではないか?
欧州債務危機は実際のところ、ドラギ・マジックで落ち着いているだけであり、イタリアやスペインのことを本当に心配されはじめるとマズい。
そう』考えると、今回のキプロス騒動はちょうどいいバランスだ。
一気に南欧諸国の流動性危機は再発しないだろうが、ユーロには強気になれない。
ユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長の発言を聞いて、このような心理状況になった投資家が多いのではないか。
デイセルブルム議長は見事な役者だったと認めざるを得ない。
ユーロ安であれば、欧州経済はなんとか時間稼ぎができることだろう。
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