2011年5月21日土曜日

債権放棄がもたらすもの

銀行に東電宛債権を放棄させて、何かいいことがあるのだろうか?

信用リスクの世界では、債権放棄は広義のデフォルト(債務不履行)だ。

格付会社のムーディーズは、今回の東電問題に関して、5月16日付けで

「デフォルトと見なし、全ての長期債務格付を複数ノッチ格下げする可能性がある」

との見解を提示している。

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いま大切なことは、

福島の安全を確保すること、

「適切な」損害賠償がなされること、

電力が安定的に供給されること、

必要な復興がきちんとなされることだろう。

そのためには、銀行が東電に対し、融資を継続するということがとても重要だ。

ただ、いろんな問題がある。

株主への説明責任?日本のため?不良債権リスク?バンカーの矜持?

いまのような状況で、東電宛の融資を継続するということだけでも、

非常に難しいはず。。。。

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そんななか、銀行にいまの債権を放棄しろ、とせまられている。

たしかに、みんな大変なんだから、銀行も損しろ、といえば、

同調する人もいるのかもしれない。

ただ、これでは、融資の継続は難しい。

債権放棄の圧力が明るみになったあと、銀行は追加で融資できるわけがない。

結局、今回の債権放棄圧力が、東電問題の解決をますます困難にする。。。

いま必要なことをもう一度考えよう。

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誰かを叩いて、世論に媚びていくような小技に走ってはいけない。

成すべき事を実現させる戦略を提示できるのが真のリーダーだ。

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