2009年8月30日日曜日

世紀の相場師ジェシー・リバモア



「彼が向き合えなかったのは失敗ではなく(生涯にわたって失敗し続けた)、成功であった」

アクティブな売りの重要性を指摘する一冊



「バリュー株トレーディング」という、いかにも商売狙いのタイトルが残念。
原初でのタイトルは、「Active Value Investing: Making Money in Range-Bound Markets」だ。
このactiveなvalue investingというのが本書のテーマであり、ここがよくわかるタイトルのほうが適切だったのではないだろうか。

そもそも一般的に、バリュー投資においては、優良な銘柄を本来あるべき水準よりも割安な価格で買うことを目指す。


一方で、この著者は、「アクティブな買いと売りの投資家になる」必要性を指摘する。
「特に売りの大切さはいくら強調してもしすぎることはありません」と強調。
従来のバイ・アンドホールド手法に関しては、「買うだけで売りを忘れた投資法」と喝破する。

この著者の予想する通り、長期的なレンジ相場入りに同意する者にとっては、
これまでの運用手法のメリットを踏まえながらも、さらに有効な投資哲学を習得できる一冊に仕上がっているといえよう。

***以下、備忘録的なメモ******************
・従来の強気相場のバイ・アンド・ホールド手法というのは、死んだとまでは言わないにしても、いわば昏睡状態のようなものです。それは「買うだけで売りを忘れた投資法」です。P16
・古い諺にもあるように、強気相場ではすべての投資家が輝いて見えるのだ。P50
・彼は優良企業と優良株の区別はまったく分からなかった。P52
・(プラスの)経済成長率と株式の長期リターンや株式相場のトレンドに目立った相関関係はない。P71
・大切なのは経済じゃないんだよP68。大切なのは景気、企業利益、インフレ率ではなくPERだよ。P83
・投資家の多くは優良企業と優良株の区別が分かっていない。これは株式投資における最も重要な誤りのひとつである。P218
・優良株は投資家の信頼が厚かったとしても、そのプレミアムはいずれはげ落ちるものである。平均以下のパフォーマンスに対する投資家の不満がやがて一気に噴き出すだろうが、それは信仰が失望に変わるときである。P221

2009年8月29日土曜日

トップ・ランナーズとの飲み会

昨日は、ほかの会社に勤める友人たちとの飲み会だった。

客観的に考えて、おそらく日本のなかでもメチャメチャ自己啓発に励み、

かつ仕事もバリバリやってしまっているヤバい連中だと思う。

みんな飲みの席ではおバカで下品な話しかしないのだが、

ときおりみせるマジトークに脱帽させられた。

特にこの1年ほど、日本は憂鬱な雰囲気になってしまった気がするが、

同世代にはスゴイ奴らがいるものだ・・・

2009年8月25日火曜日

「蜃気楼」と「教祖」 ― あまりにも偏った人物眼



この「幻想曲 孫正義とソフトバンクの過去・今・未来」は、
日本の不動産バブルや金融危機、ITバブルのころのことを纏めた雑誌の記事としては秀逸の出来だといえる。


ただ、この本の一貫したテーマとして、どうもこの著者は孫正義氏に対して過度にネガティブな表現を使っていることが気にかかる。


タイトルの「幻想曲」は、もともと「蜃気楼」という予定だったそうだ。
現役でビジネスをしている者を評するのに「蜃気楼」とは、どういうつもりなのだろうか?
そして、孫からの蜃気楼というタイトルを変えてほしいという希望を受けての代案が「幻想曲」。
なにか、歪んだ意図を感じざるを得ない。


以下はどうしても看過できない文章の例だ。
「孫は"失われた10年″と呼ばれた時代に最もその輝きを見せた」
「その役割を一回り以上の若い世代に譲り渡した」
「最終的に経営者として名と実を残すのは後者(=楽天の三木谷氏、ライブドアの堀江氏)のような気がする。なぜなら孫は、経営者ではなく、やはり時代が生んだ一大の梟雄に他ならないからだ」

一方で、この著者は「“教祖”降臨―楽天・三木谷浩史の真実」という本も執筆している。





ソフトバンクの孫氏は「蜃気楼」で、楽天の三木谷氏は「教祖」ですか??

2009年8月20日木曜日

投資の行動心理学





金融機関でマーケットの仕事をしている立場からこの本を評価すると、
「マーケットでの成功を勝ち取るには心理的要因が最も重要である」、
「投資家はトレーディングシステムより重要であり、自己鍛練と自己制御は成功の鍵である」などいう指摘は、真実であるといえる。

一方で、この本の多くの部分が割かれている、まさに「心理学」の部分は読み物としては興味深い面もあるが、これを知ったところで、上手く売買できるようになるわけではないと言わざるをえない。また、投資家としての具体的なチェック項目も豊富だが、あたりまえのことしか書いていない。

ただ、この本の一貫したテーマである「重要なのはテクニックではなく、己を知ることである」という考え方は、マーケットで戦っていくためには忘れてはいけない。このことについて考えるためであるならば、一読の価値があるだろう。

2009年8月18日火曜日

年間報酬10億円は高すぎるのか?

時事通信から**********

【ニューヨーク時事】

公的管理下にある米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)のベンモシェ社長兼最高経営責任者(CEO)の2009年分の報酬が最大で1050万ドル(約10億円)に決まった。同社が17日、米証券取引委員会(SEC)に提出した資料で明らかにした。

金融危機以降にAIGを率いたリディ前CEOの年間報酬はわずか1ドルでボーナスも返上。同社が政府支援から抜け出せない現状で、新CEOに対して、前任の1000万倍超の報酬を支給することに世論の反発も予想される。 

*********************



たぶん、これを読んだら、「高すぎる」とか

「国営のくせに!」とか「税金だろ?」とかいう意見がでてくるのだろう。

この記事自体、ちょっとあおり気味の文体だし。


一方で、反論としては、

「能力があればいいのでは?」とか「ほかの企業のCEOも多いし」という

感じだろうか。


ここで考慮しなくてはいけないと思うのは、

このような様々な利権が絡む企業の経営者になることの

物理的な危険の対価だ。


ちょっと舵取りを間違えば、政治団体やマフィアやもしかしたら

保険の加入者から、暴力を加えられることもあるかもしれない。

身代金目当てで家族に危険が及ぶかもしれない。


そういうことを考えると、それを回避するためのコストや

心理的苦痛のコストも生じるだろう。


例えば、自分の娘には絶対に危険が及ばないようにするために、

24時間体制で護衛をつけるとなれば、ひどく高くつくだろうし。


きっとほかの企業でも上手く経営できるであろう人物に

そういう追加の負担を生じさせる企業の経営をさせるのだから、

それなりの報酬が必要なのは仕方がないと思うなぁ。

2009年8月16日日曜日

フランキー・ワイルドの素晴らしき世界 [DVD]





クラブの聖地イビサから世界中を熱狂させるDJフランキーの物語。

各国映画祭でフランキー・マニアが続出したらしい。




顔中をドラッグまみれにしてエンジョイしているところとか、

幻覚の生物に血まみれにされるところとか、

なぜか自分の子供の肌の色が違うところとか、

普通にテニスコートでファックしているところとか、

笑いどころ満載の一見、コメディ映画。




フランキー・ワイルドを演じるポール・ケイという俳優は、

本当にラリっているとしか思えない。




その天才DJが聴力を失ってしまったあと、

出会ったこと、感じたこと、

そして失いかけた才能が、また輝き始めるプロセスがスゴイ。




圧倒的に不利な環境下において、それでも人々を魅了してしまう。

そういう世界に想いを馳せるのも悪くない。

2009年8月14日金曜日

ドラゴン桜公式副読本 16歳の教科書2 「勉強」と「仕事」はどこでつながるのか





前作は勉強を「教科」や「科目」の単位で捉え、それがいかに役立つかという点を論じたもの。一方、今回は、大きな意味での「勉強」と、「自己実現」という意味での「仕事」の関係に対して、著名人の考えをまとめている。大きなテーマであることもあり、前作のような「目から鱗」という部分はなかったが、「仕事」に対してどう向き合っていくか、また、それは勉強をしていた16歳のときとどのような関係にあるのかについて考えることができる構成になっているといえよう。「すべての16歳と、かつて16歳だった大人たちに贈る特別講義」なわけだが、後者の立場からの読後感を述べてみたい。
           
1)ジャズシンガーの綾戸智恵さんの部分は、よく知られたキャラによる期待通り、元気がでる内容。現在の16歳にもお勧め。また、親と子の関係についても、ぜひ悩める16歳に読んでほしい。

2)サイゼリヤの正垣泰彦さんの「一の中に十を知る」というメッセージは一読の価値あり。ビジネスマンにこそ有益な内容だった。

3)渋滞学の西成活裕さんの我が道を行く生き方は、親子で意見交換するには良い材料。

4)日産GT-Rの水野和敏さんのプロ論は16歳にとっても、大人にとっても豊かなメッセージになるでしょう。何度も読み返してしまいました。特に、チームのリーダーを担いながらも、運営について悩んでいるビジネスマンには必読です。

5)若手映画監督の李相白さんは、とても静かな文体かつ控えめな表現なのですが、実はリーダーシップ論として非常に面白い指摘をしているのでお勧めです。

2009年8月9日日曜日

Jaco Pastoriusの甥





才能ある者は早くに亡くなってしまうことが多い。

もう我々はJaco Pastoriusの新作を聴くことはできないけど、

Jacoの甥が活躍している。

上に添付しているのは、Jacoの甥のDavid Pastoriusのセカンドアルバム。


もし、Jacoが生きていたら・・・という

我々の願望を満たしてくれる素晴らしい作品だ。



David Pastoriusの演奏はこれで聴ける。

http://www.youtube.com/watch?v=BlA7SsU7kuA&NR=1

人脈の教科書 藤巻幸夫

「右手に日経新聞、左手には女性誌」

勉強なのだから経済誌も女性誌も同じ。


2009年8月5日水曜日

Round Midnight

ここのところ、自分のペースで生活しているので、
自然と音楽を聴く時間が増えている。

そんななか気に入っているのがRound Midnight。

Thelonious Monkの名曲だ。


いま、かけてるのはJoe HendersonとCharlie Hadenが演奏しているやつ。

1989年の「The Montreal Tapes」というアルバムに収録されている。


狂った世界と、幻想的な静寂の間を自由に行き来するCharlie Hadenというベーシストには
初めて聞いた時、つまり、たぶん僕が18歳のころから、これまでずっと心を奪われている。

そのCharlie Hadenをして、「ミュージシャンとしても人間としても、彼は百万人にひとりの類稀な存在だった」と言わしめるJoe Henderson。

サックスの独奏から始まるメロディの最初の数小節で、そのエロティシズムが充満する。

そして、やや暴れた音色を聞かせたあと、観衆の拍手がなされ、

静かに、Charlie Hadenが奏でるベースが入ってくる。

このアルバムの一番美しい瞬間だと感じる。


一度、聴きだすと、なかなかやめられない危険な曲だといえよう。

2009年8月3日月曜日

変革をするときは・・・

来る新しい職務では、いままでと違って、チームのリーダーになることを
期待されている側面がある。

これまでは、ピュアに相場と向き合っていただけに、
これはかなりの負担になるのではないかと思っている。


いかにメンバーが気持よく働きながら、
かつ、パフォーマンスをあげていくか。


こんなことを考え、最近は、マネジメントに関するものを読んでいたりする。



以下は、昭和シェル石油の新美春之氏の記事から。

「変革をするときは必ずリーダーとフォロアlとプロッカーがいる。
 
 リーダーはだいたい10%、ブロッカーも10%、そして大多数はフォロアーだ」



どう解釈すればよいだろうか?

ブロッカーはリーダーと同じくらいの勢力規模であり、対応が困難と捉えるか?

それとも、大多数のフォロアーをどうするかという問題提起なのか?

ワタクシ的には、ブロッカーとうまく付き合い、フォロアーのテンションをあげていくことが
変革のために求められていることではないかと考えている。

数年前までの生意気小僧のころは、ブロッカーとは徹底的に戦え!とか思っていたけど、
それじゃあ、変革が遅れるだけだと最近は思う。

また、同じように、意識の低い奴なんかほっとけと考えているころもあったが、
一人でできることなんてたかがしれているのだから、
みんなで盛り上がっていけなくちゃなぁなんて思ったりするようになった。

丸くなったのかな?(笑)