2013年12月30日月曜日

金相場の本質を考える―2014年、値ごろ感でゴールドを買うのはやめておいたほうがいい


12月30日、東京時間の夕方だが、ここでゴールドも振り返っておこう。





2013年、ゴールドは大きな下落を見せたが、これは必然でもあった。

当方としては、このブログで何度もゴールドに対して警鐘を鳴らしてきた。


金(ゴールド)について再び考える。ソブリンと金融緩和縮小の観点。 (2013年6月28日付)

金の相場の下げが意味するもの (2013年4月11日付)




メイン・ビューは先進国の通貨への信認の回復だ。

サブプライム危機による米ドルへの不信。

欧州債務危機によるユーロへの不信。

ソブリンを信じられない期間が続いたからだ。

ドルとユーロへの不信がゴールドへの需要を高めてきたのである。

それが2012年までのゴールドの大相場の原動力だ。



2013年はこれの逆回転だ。

もうユーロ崩壊を懸念している人はいない。

そしてアメリカの、ドルの本格的な復活が迫っている。

2014年、値ごろ感でゴールドを買うのはやめておいたほうがいい。






2013年の日経平均上昇率は57%。なんと41年ぶりの大きさ



おそらく、今日、明日のニュースでは、アベノミクスの成果として、2013年の日経平均の上昇率に関するコメントが散見されることになるだろう。


2013年の日経平均上昇率は57%。なんと41年ぶりの大きさだ。

もうバラ色なのか?

きちんとチャートでみてみよう。






80年代後半は完全にバブルだったとしても、資産運用の観点からは、70年代半ば~80年第半ばまでのような市場環境が「やりやすい」相場だ。

釈迦に説法だろうが、資産運用においては少しづつでもプラスの成果が続くことが望ましい。

近年のように、プラスとマイナスが交互する相場は、複利効果の面で、結局、資産を大きく増やすことが難しい。


2013年、例えば、日本株の運用においては上記のように素晴らしい相場だったわけだが、今後、どうしたらよいのだろうか。

もはや運用しないことがリスクである。

このまま行けば、消費税引き上げと円安による輸入物価上昇で、実態としての生活は貧しくなっていくことだろう。



しかし、2013年のような年は、まさに奇跡だ。

2013年のような相場が続くと考えるのは、あまりにもナイーブだ。

リスクを考慮しながら、リスクをテイクしていくことが大切だ。

当方では、2014年の重要なポイントは以下2点だと考える。



1.円のリスクをヘッジ

2.日本株全体ではなく、個別銘柄を選別的に購入



1について

 ここまで円安になった中で、抵抗感があるだろうが、生活基盤を守るという意味で、一定程度の円ショートのポジションをとるべきだろう。

 特に、来年、日銀による追加の金融緩和を視野に入れながら、また、アメリカの一段の復活を想定し、円ショートのポジションを有しておくべきだ。


2について
 
 2013年は、日経平均構成銘柄のうち96%に相当する216銘柄が上昇したそうだ。

 これには割安すぎたものの再評価という意味合いが強かった。 

 しかし、割安修正が一定程度完了したいま、日本株なら、なんでもかんでも上がるという相場はもう続かない。

 特に、NISA時代においては、これまでと違う動きが警戒される。

  ご興味あれば、こちらもご覧だくさい。
 →NISA時代に勝利するための銘柄選択





これらのポイントが、複利で資産を増やしていくのに重要となるだろう。

まとめると、2014年は、引き続き「ブル」で資産運用していくべきだが、リスクを考慮しながら、リスクをテイクしていくことが大切だ







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2013年12月27日金曜日

相場の大局観においては、米国債が道標となる


年末年始ともなると、相場予想が活発になる。

「もう株は上がりすぎだ」、「いや、今度は違う」。

「アベノミクスはまだ始まったばかりだ」、「もう一段の金融緩和があるはずだ」

「シェール革命だ!」


資産運用において重要なのは、他人の予想を鵜呑みにすることなく、自分で判断し、意思決定していくことだ。


そのうえで、当方が長年、重要視しているものを共有しよう。

相場の大局観においては、米国債が道標となる。




これはこの半年の米国債の利回りの推移だ。





こうみると、米国債の利回りが激しく上昇していることがわかる。

これは米国経済の力強い復活の兆しかもしれない。

おそらく、これは現在の市場のコンセンサスだろう。






ただし、重要なのはあくまで中長期的な資産運用だ。

大局観を養うためには、より長い期間で米国債の位置づけを考えるとよい。





このように、長期でみると、米国債は利回り低下の歴史である。

この紫のラインに何度も挑戦して、跳ね返された歴史である。

チャート分析を盲信してはいけないが、これは非常に強力な抵抗線といえよう。




見方を変えれば、米国債は世界の相場のエネルギーを反映する。

すなわち、80年代以降、世界の相場のエネルギーは低下していったのである。





今後、世界の相場のエネルギーが、本格的に高まるのか、または、再び、低下していくのか。

他人の無責任な予想に踊らされることなく、冷静に米国債を見つめることが大切だ。

米国債が道標となる。



80年代以降続いている延長戦の中なのか、真に歴史的な転換が迫っているのか

米国債を見つめていれば、あと少しで、相場のエネルギーの行方がわかることだろう。






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NISA時代に勝利するための銘柄選択


いよいよNISAの資産運用がスタートする。

ここでNISA時代に勝利するための銘柄選択のコツを共有しよう。


従前、銘柄選択ではバリュエーションの低いものを見つけることが、
中長期的には勝利に至る王道であった。

しかし、これは銘柄選択の能力の勝負でもある。

つまり、他人よりも上手に銘柄を発掘する能力に依存した勝負であった。

その銘柄の魅力を他人よりも早く気づき、購入する必要があった。

言わば、「通好み」の銘柄選択の勝負である。




NISA時代には、どうなるだろうか。

上記の勝負も引き続き重要であることは言うまでもない。

しかし、NISA時代には、これまであまり銘柄選択をしたこともない人が参戦してくるということを理解するのが重要である。

つまり、バリュエーションなど意識しない資金が大量に入ってくる。

そこでの銘柄選択のポイントは、「知っている会社」、「商品やサービスのユーザー」、「有名な経営者がいる会社」などになってくる。

ここからいくと、例えば、BtoCの会社などは、競争が激しく、利益率が低いと評価されることが多かった。

BtoCからBtoBへ経営資源をシフトさせる戦略がとられることも多い。

しかし、NISA時代の銘柄選択としては、BtoCの会社のほうが有望なのだ。

それは、BtoCによる低い利益率よりも、「多くの人が知っている会社」たりうるからだ。



これは、これまでの経験が豊富な人ほど、つまり、バリュエーションの見極めに自信があるほど、抵抗感のある提案だろう。

バリュエーションに自信のある人ほど、このような銘柄は「割高」だと却下したくなるだろう。

それでも、あえて提案する。

NISA時代の銘柄選択のキーワードは「知名度」、「好感度」である。










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2013年12月13日金曜日

SugarSync(シュガーシンク)を引き続き、無料で使うために


SugarSync(シュガーシンク)が完全有料制に移行、無料プランは終了とちょっとした騒ぎになっている。





いや、そもそも日本人の感覚からすると、新規の無料プランは終了になっても、
自分の既存の無料プランは大丈夫だろうと思ってしまうくらいだ。

よく注意したほうがいい。




事実を確認しよう。

SugarSyncの無料プランには、実は2種類ある。

アメリカ版と日本版「SugarSync.jp」だ。

今回、完全有料制になるのはアメリカ版のみだ。

現時点では、日本版「SugarSync.jp」の無料プランは継続される。



つまり、今回、検討を必要とするのは、現在、アメリカ版で使用していて、今後も課金は避けたいという人になる。

まずは、自分がアメリカ版なのか日本版なのかを確認しよう。

アメリカ版か日本版の確認方法




現在、アメリカ版で、引き続き、無料で使いたい人は、日本版「SugarSync.jp」でアカウントを作成し直す必要がある。

そのとき、以下のリンクから作成すると、当方にもあなたにも、ボーナスで容量が増加されるので、
ぜひ検討していただきたい。

新規のSugarSyncはこちらから!





有料プランばかりで、わかりづらいので図をご覧ください。

リンクの先からは、上図の赤い丸のところから入れば、無事に無料プランを作成できる。


2013年12月11日水曜日

流通総額からアリババの時価総額を考える


バークレイズの米島アナリストが興味深い分析を提示している。

 *2013年12月11日付け 「ソフトバンク 株高の恩恵を享受。TP を引上げ」より



米島アナリストは以下のバランスに注目。

米eBayの12 年流通総額(マーケットプレイスのみ)は750 億USD に対し、時価総額は679 億 USD。

楽天の12 年流通総額(国内EC のみ)は1.4 兆円に対し時価総額は2.0 兆円。



注目のアリババの12 年流通総額(TMALL, Taobao)の流通総額は1 兆元(約17 兆円、1 元=17 円で換算)以上と発表されていると米島アナリストは指摘。

そのうえで、「流通総額と企業価値が類似すると仮定すれば、アリババの価値を14.1 兆円としても
違和感はないだろう。」と主張している。



なお、ソフトバンクはここで14.1兆円の企業価値と評価されたアリババの36.7%の持ち分を有する。



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2013年12月2日月曜日

異次元の金融緩和と円の未来


当方では、日銀の異次元の金融緩和に関して、非常に心配している立場だ。

この数か月の円安は、一定程度の弊害は認められるものの、

フェアに評価して、円安による日本株を誘発できたとみてよいだろう。


しかし、今後、日銀のバランスシート上での日本国債でどんどん増えていくことを
非常に懸念している。

日銀のバランスシートの質の悪化は、結果として円の価値を下落につながる。

円の価値の下落が一定程度で収まればよいが、リスクがあることを認めざるをえない。



みずほ証券の上野チーフマーケットエコノミストは、当方でも非常に信頼しているエコノミストである。

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彼が『いつまで「量的・質的金融緩和」は続くのか? ~ 重要なのは「人」の交代』というレポートの中で、鋭い指摘をしているので紹介したい。


****ここから引用****


黒田総裁は時期尚早の金融緩和停止や金融引き締めには、きわめて慎重な姿勢をとり続ける可能性が高い。

利上げが5年間回避されるだけでなく、「量的・質的金融緩和」についても5年間の任期中、このまま淡々と続けられる可能性も否定できない。

その場合、13年末に200兆円、14年末に270兆円という見通しを日銀が示しているマネタリーベースは拡大を続け、年間70兆円の上積みペースが維持される場合には17年末に480兆円に達する計算になる。

この数字は今年7-9月期の名目GDPである482兆9,859億円と、ほぼ等しい


****ここまで引用****


これのバランスシートが現実になるときの、「円」は「信認」を維持できるのだろうか?


当方では、ここもと円安が急に進行しているものの、一定程度の外貨建てポジションを保有しておくことが、資産運用において、非常に重要だと判断している。

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