2012年11月28日水曜日

NTTドコモとiPhone


プレジデントでこんな記事が掲載されている。

NTTドコモ新社長はアマゾン、楽天を追いかける【1】
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20121127-00007882-president-nb


本当にiPhoneを扱わなくていいのだろうか?


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通信キャリアの競争力は、(1)通信インフラの品質、(2)端末の魅力、(3)コンテンツ・サービスの魅力で決まると考えてよいのではないだろうか?


ドコモの強みのイメージは(1)の通信インフラの品質だ。

しかし、最近は通信障害が頻発している。


また、ユーザーでないとわからないためか、あまり指摘されていのだが、都内では、ドコモの通信は逼迫しており、回線の速度はかなり落ちている。

つまり、通信インフラとしての競争力は低下している。


(2)端末の魅力の観点からいくと、この記事をみる限り、ドコモはiPhoneという選択肢はとらないようだ。

そこで、(3)コンテンツ・サービスの魅力、なのだろう。


そのアンサーがネットでの通販でのガチンコ勝負というのであれば、あまりにも競争が激しい戦場を選択していると評価とせざるをえない。

記事によれば、「加藤社長は『Amazonを目指す』と明言する。」


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ドコモは苦戦中だが、バランスシートも強く、稼ぎ出す利益の水準はまだまだ高い。

がゆえに、いろいろな施策を試みることができてしまう。

ながい時間をかけて、じわじわと弱っていってしまうのではないだろうか?



ドコモの選ぶべき選択肢は、iPhoneを扱うことだ。

日本の通信キャリアは基本的にはパイの奪い合いのゲーム。

目先はiPhoneのハンディキャップを解消し、KDDIの弱体化を仕掛けることが有効だろう。

2012年11月21日水曜日

日本のケインズ


12月16日の選挙に向けて、安倍総裁がいろいろと刺激的な発言を繰り返している。

積極的な緩和を期待し、相場は盛り上がっているが、落とし穴はないだろうか?

そういうときは、歴史に学ぶのが有効だ。


かつて、「日本のケインズ」と呼ばれた人物がいる。

高橋是清だ。






最初は積極的な緩和により、景気をサポートしたのは事実だ。

ただ、やはり、この類はブレーキが難しい。

このときは、結局、財政インフレになっている。

インフレ?いいことではないか!などと、このご時世では唱える向きもでてくるかもしれない。

長らくデフレに苦しむこの国では忘れてしまったのだろう。

過度な緩和の副作用のことを早く思い出すべきだ。



2012年11月19日月曜日

政権交代は短期ポジティブ・長期警戒か


民主党から自民党に政権交代がなされた場合、相場にはどのような影響があるだろうか?

<民主党>

・大きな増税
・抑制的な財政支出
・中程度の金融緩和

<自民党>

・中程度の増税
・積極的な財政支出
・積極的な金融緩和

こう考えると、もし自民党になった場合、短期的には、円安&株高が期待できる。

ただし、注意しなくてはいけないのは、その持続性だ。

経済は本質的にはその実力で成長していく。

そのトレンドに対し、金融政策や財政政策は前倒しにしたり、先延ばしにしたりするにすぎない。

つまり、例えば、目先、緩和的な政策を選択した場合、その巻き戻しがくるのである。

そのときに、経済の実力が回復していなけれれば、また景気は悪化する。



ダイエットに似ている。

例えば、急に食事の量を減らせば、体重は減るかもしれない。

ただ、それではすぐにリバウンドしてしまうのである。

食事の量を減らすとともに、トレーニングすることで代謝をあげることが重要だ。

そうすれば、スリムな身体を長く維持できるだろう。


経済の場合の代謝向上に相当するのが、イノヴェーションだ。

緩和的な政策により、資金コストが低下しているうちに、画期的なイノヴェーションを実現できるかどうかにかかっている。


イノヴェーションがないのであれば、ダイエット同様にリバウンドを警戒しなくてはいけない。

2012年11月15日木曜日

パナソニックは『道をひらく』 その2


本日の日経新聞ではこんな記事。

「パナソニック「15年度に実質無借金」 復配は13年度」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD140MI_U2A111C1TJ0000/?dg=1

河井常務がこう述べているそうだ。

営業利益も純利益も、ある程度まとまった数字を出さないといけない



先般の大幅赤字はパナソニック復活のための偉大な一歩だ。

やはり、パナソニックは『道をひらく』だろう。

きついダイエットでフラフラしてるだけ



残念ながら生活が乱れて太ってしまった男がいるとしよう。

しかし、彼はその現実をしっかりと受け止め、ハードなトレーニングを始めた。

食餌もきちんと内容を吟味するようにした。

それらがかなり厳しい内容のため、いまはフラフラしているところだ。

ただ、問題点を見極め、適切に取り組んでいけば、再び、健康になれることだろう。








一方で、ライバルは甘いものを堪能している。

ただ、その皿は汚れきっている。

本人はうまくやっているつもりだろうが、このままでは病気さらに悪化するだろう。




ソニーに5億8500万ドルの請求??


ソニーがこんなことを発表している。

「2012 年11 月9日、ソニーに対するムーディーズ・ジャパン株式会社による格付けは、“Baa3”(アウトルックネガティブ)に格下げされました。

今回の格下げにともない、特定の法人顧客において、前受金残高の即時返済を要求できる権利が発生しました。

2012 年11 月14 日現在、その金額は最大約585 百万米ドルです。

また、2012 年11 月14 日現在、ソニーはこの法人顧客から返済請求を受けていませんが、返済請求を受けた場合、契約条件に従い、その金額を払い戻すことになります。

この払い戻しは、手元現金と短期借入金により賄う予定です。」


これって、昨日のCBの理由なのか。。。?


2012年11月14日水曜日

ソニーがCB発行!




ソニーが海外でCBを1500億円も発行するという。

転換価格は14日の終値870円に10%~20%上乗せした水準で、本日夜に決定の見込みだそうだ。

ここまで株価が下がっているなかで、なんとも低い上乗せ水準。。。



ソニーの株式の時価総額は、いまや8740億円だ。

このCB発行は強烈な希薄化圧力になる。




そもそも、本件の資金使途は半導体への投資や他社への出資、また既存の借入の返済に充当されると説明されている。

こんなもの、低利の銀行ローンでまかなえばいいだろう。

もし仮に、銀行ローンでよい条件がでないので、このCB発行に追い込まれたというのであれば、、、




現在のソニーの信用格付けは、ムーディーズでBaa3のネガティブ。

もうすぐジャンク債扱いだ。



かつては、あんなに輝いていたのに。。。








仕事






2012年11月13日火曜日

フィナンシャルエンジニアリング―デリバティブ取引とリスク管理の総体系


フィナンシャルエンジニアリング。

デリバティブ取引とリスク管理の総体系の一冊。

マーケット部門、特にデリバティブにかかわる者で、これを知らないものはいないはず。





リスク管理について多くの時間をかけて考えたことがあるかどうかで、その後の相場人生が変わる。

これだけの大作だと、まさにじっくりとリスク管理について考えることができる。

リスク管理を軽んじると、相場の世界では長生きできない。

リスク管理を軽んじた末路


元UBSのトレーダーが23億ドル相当の損失の詐欺と不正会計で罪に問われている。

弁護士によると、「リスク限度を超える取引は上司から促されたもの」だそうだ。



かなり大きなポジションだったと推察される。

1日で600万ドルも勝ったこともあるらしい。

ただ、その末路がこれではいけない。



リスク管理は相場で生きていくうえで、もっとも大事なものだ。

はした金で浮かれていると、大事なものを失ってしまう。

2012年11月9日金曜日

ヘッジファンド運用者の報酬は1億円越え


「ヘッジ・ファンド・リサーチ」と「グロキャップ・サーチ」がこんな数字を開示しているそうだ。

「ポートフォリオマネージャーの平均給与は『中程度の成績で中程度の会社』では130万ドル(約1億320万円)」 
*ただし、ブルームバーグからの孫引き


このご時勢に1億円超え。

ただ、今後、証券会社からのリストラ組がどんどんファンドを設立していくことだろう。

その場合、受託資産の獲得競争と報酬のダンピング競争がますます激化していくはず。

相場をあてるだけでは、ファンドビジネスはうまくいかない。










東京電力の「再生への経営方針」の意味?



先般、東京電力が突然、「再生への経営方針」というものを発表した。

http://www.tepco.co.jp/cc/press/2012/1222460_1834.html


これは何を意味するのだろうか?

同日、廣瀬社長がこのように発言している。

「事前に政府側と折衝して策定したものではない」



本当だろうか?

東京電力は、現在、実質的に国の管理下にある。

まさに、事前に政府側とよく計画を練ったうえで、あの発表がなされたとするならば、それが伏線となるストーリーを検証しなくてはならない。例えば、「法的整理」への地ならしの可能性だ。



一方で、本当に東電単独で発表したのだとすれば、どんな意味があるのだろうか?

例えば、こんな仮説が考えられる。

「東電は電力業界のリーダーだと自覚している」

震災前までは、間違いなくリーダーであっただろう。

いまはどうなのだろうか?

市場での評価、銀行からの評価、世間からの評価、、、

いろいろな評価があるだろう。が、厳しいものが多いのではないか。



そんな中、東電はリーダーとして日本の電力業界の未来を案じて、あのような発表をしたのだとしたら、、、

まさに、「想定外」、、、


ねばるスペイン。ECBの据え置きの意味は?




ECBは政策金利を0.75%で据え置くことを決めた。


事前の市場予想も、ほとんどの人が据え置きを予想していたので、これ自体は相場の材料にはならない(ブルームバーグの集計では63人中62人が据え置きを予想、1人が0.5%への利下げ予想だったそうだ)。

ドラギ・マジックのおかげで、スペイン国債はなんとか生きながらえている。

しかし、そのせいで、トリガーとなるスペインによる支援申請がまだなされていない。

これはユーロという特異な通貨構造のなかで、各ソブリンに財政の主権が残置されているという歪んだスキームの改善を促すもの。

しかし、それが、変に生きながらえているので、発動できていない。



昨晩のECBの据え置きは、それに対するプレッシャーだと解釈できる。

ユーロが「普通の経済圏」になるカギは、いまはスペインにある。

2012年11月6日火曜日

CDSでは"管理人"に注意



CDSのクレジット・イベントのうち、Bankruptcyには気をつけなくてはいけない。

「管理人、仮清算人、保全人、財産保全管理人、管財人、財産管理人その他参照組織またはその資産の全部もしくは実質的に全部を管理する類似の官吏の選任を申し立てた場合、またはかかる選任が行われた場合」と規定されている。

日本の感覚からすると、まだ生きている、まだセーフ、という企業がこれでひっかかるケースがある。

例えば、2008年、アメリカのファニーメイやフレディマックはこれでクレジット・イベントにヒットしている。


最近だと、話題の某社なんか、「実質的に全部を管理」される寸前だったりして。。。

債券のファンドに資金流入




債券王ビル・グロース氏のファンドが運用もビジネスも好調だ。

彼が運用する米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の「トータル・リターン・ファンド」には、この10月、24億ドル(約1930億円)の新規資金が集まった。

今年の運用成績は足元でプラス10%に迫る勢いだという。




アメリカの量的緩和は債券ファンドに恩恵をもたらしている。

量的緩和の終了が検討されるとき、相場はどうなるだろうか??

株安、債券安。

資金はどこに逃げるのだろうか?

2012年11月5日月曜日

裁判所が格付会社を裁く??



一般に、格付会社の格付とは、格付会社の『意見』であると主張される。

つまり、単なる『意見』なので、格付会社は、その債券の償還について保証しているわけではないと仰るのだ。

そんな中、こんな事件が。

「米S&Pが敗訴、判断誤らせたと認定-オーストラリア連邦裁 - Bloomberg
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCZNW96K510101.html 」

「2006年に発行された2種類の仕組み債の格付けは「判断を誤らせる」ものだったと指摘。S&P、ABNアムロ銀行、ローカル・ガバメント・ファイナンシャル・サービシズに損害賠償金の支払いを命じた。」

これはすごい。

この調子で格付会社に賠償金を支払わせたら、格付会社なんてなくなってしまうだろう。

パナソニックのCDSが激しくタイトニング


パナソニックは先般の決算を受けて、CDSが大きくワイドニングしていた。

実態の理解うんぬんのまえに、その赤字幅の大きさが嫌気されたのだろう。


ところが、本日はずいぶんとタイトなレベルでのトレードが観測されたようだ。

先週のクローズが420bp近辺だったのに対し、本日は345bp。

リスクテイクする動きが帰ってきたのだろうか?

あの人のtwitter、最近見かけないと思ったら、、、


twitterの使用の変更で、RSSなどに登録しているtweetがみれなくなっている。

「 https://twitter.com/statuses/user_timeline/(アカウントID).rss 」などのワザを利用している場合が、ひっかかってしまう。

Google Readerや、それを経由したFlipboadなどでチェックしている場合は、注意が必要だ。



対策は以下の通り。ただし、最近、twitterが急に使用を変更することを念頭にいれておこう。

「 https://search.twitter.com/search.atom?q=from:(アカウントID) 」

これをRSSに登録しなおせば、当面は大丈夫だ。

IMMは「円売り」ポジションが増加



IMMの投機的ポジション(Non-commercial + Non-reportable)は、10月30日分で52,306枚から76,581枚に増加。

米雇用統計もよかったし、米国債の居所が変わったら、面白い相場つきになりそう。

目先としては、明日の米大統領選挙の結果を見極めたら、どかんとポジション・メイクって感じだろうか。

2012年11月2日金曜日

パナソニックは『道をひらく』



『津賀神話』が始まるかもしれない。


パナソニックの新たな業績の計画が注目されている。今年度の当期損益は7650億円の赤字になるという。昨年度が7722億円の赤字なので、2年間で1兆5000億円も吹っ飛ばすことになる。


パナソニックは大丈夫なのだろうか?

今回の津賀社長の決断は正しいと評価する。

実は今年度の計画では本業の実力を示す営業損益で1400億円の黒字。昨年度は437億円だったので、着実に前に進んでいる。




1.最終の当期損益が大幅な赤字になるのは、大きく以下の2点を「選択」したことが要因。


(1)将来のリスクの「損切り」を選択

 過去の投資の失敗を、「のれん・無形資産の減損」として確定させた。これは英断だ。三洋電機等、過去の大型投資が現在ではうまくいっていないので、将来的なバランスシートのリスクが高い状態が続いていた。これが疑心暗鬼になっていたのだが、これを確定したことになる。

 今後は、この損切りで十分だったのかどうかをウォッチしていけばいい。なお、2012年度第2四半期末時点で、のれんは5177億円、無形資産は2377億円。パナソニックの経営陣は「過剰感が解消」と自己評価している。


(2)経営環境の悪化を「直視」した結果、繰延税金資産を取り崩した

 2Q累計の法人税等は4114億円で、前年と比べると4128億円の増加。法人税等に含まれる繰延税金資産の取崩し額は4125億円だ。

 これを主要因として、税引き前の損益▲2787億円から当社株主に帰属する当期損益は▲6852億円まで悪化している。



2.キャッシュフローを力強くコントロール

 
 津賀社長は「普通でない会社」だとの自己評価を披露した。これはすごいことだ。「天下の松下」がこんなことを言えるものなのだろうか。

 「あらゆる手を尽くしキャッシュフロー創出」し、「普通の会社」になるという。

 この現実を適格に認識し、まっとうな解決を模索する姿勢は評価したい。

 ちなみに、普通の会社に向けて、毎年度フリーキャッシュフローで2000億円以上を目指すとの経営数値目標を掲げた。これが実現できるなら、たしかに危機は脱出できるだろう。




3.結論

松下幸之助は偉大だった。

『津賀神話』はどうなるのだろうか?

パナソニックは『道をひらく』ことができるだろう。