2013年6月28日金曜日

中国は意図的にバブル退治をしている。その代償は、、、


中国の短期金利が暴騰し、株価も極めて不安定になっている。

中国上海総合指数



習近平体制はどう考えているのだろうか?

つまり、どういう哲学をもった政治なのだろうか?

強権型なのか、迎合型なのか?



いま、習近平体制は中国のバブル潰しに注力しているとの仮説で考えてみよう。

中国はリーマン・ショックの対策として、当時4兆元もの財政支出をしている。

この4兆元の7割は地方財政の負担となっており、地方財政のバランスシートを脆弱にしている。



この財政支出は、残念ながら生産性の低い投資となっており、中国は結果として過剰生産に苦しんでいる状態だ。

実物資産は十分なリターンを生むことができず、借入をほかの借入でまかないながら延命をしているような状況。

そんな中、ここもと大きな返済が固まっており、デフォルトのリスクが高まっている。


もしも、習近平体制が迎合的な性格の政治であるならば、大型の緊急融資などという選択肢がとられるのであろう。

しかし、足元で起こっているのは、逆に短期金利の暴騰だ。

つまり、借換が難しくなるような状態。

ここから推察するに、習近平体制は、現在の過剰生産の問題点を痛みを伴う恰好で解決しようとしているのではないか。

強権型なのではないか。


そもそもこれはその前の胡錦濤体制時代の負の遺産である。

まだ、習近平体制は始まったばかりであり、いまなら、胡錦濤体制時代の負の遺産の処理という大義名分が成り立つ。

中国は経済が不安定になるなか、習近平体制が続いていくためには、この過剰生産問題を改善していく必要がある。

そこで、バブル潰しなのだろう。

強権型でバブル潰しをしにいくという意図で短期金利が暴騰していると考えるとつじつまが合う。



ただ、これはリスクが大きい。

過剰生産は時間をかけて徐々に解決していくのが妥当だ。

胡錦濤体制時代の負の遺産の処理という大義名分を成り立たせるという、つまり急いだバブル潰しは、ハードなクラッシュに至るリスクが高い。



金融緩和時代の運用の終わりを意識しよう」で論じたように、ただでさえ、世界の流動性は変化しつつある。

FRBによる金融緩和縮小だけでも、世界中の株価が下落しているなか、今回の中国によるバブル潰しは、さらにグローバルな流動性を吸い上げる可能性が高い。




習近平体制が永く続く可能性に賭ける代償は、グローバルな金融システムの混乱のリスクだ。

皮肉なことに、リーマン・ショックから回復するためだった4兆元が、新たなショックを誘発する。


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金(ゴールド)について再び考える。ソブリンと金融緩和縮小の観点。


これまで、金については何度も考察してきた。

例えば、「金の相場の下げが意味するもの」は、4月11日に提示したもの。

それに加えて、流動性相場についてはこう考えている。

金融緩和時代の運用の終わりを意識しよう



つまり、金においてはこういう力が働いているのではないか。

1.ソブリンに対してのリスクが緩和することによる、金へのニーズが剥落
2.FRBによる金融緩和の縮小による金への評価のかさ上げ分が落ちている






金はこれまでの金融緩和時代の目線からみると、価格的にはものすごく安くみえる。

しかし、日本人の資産運用においては、ここで金を買うよりも、ドル資産を増やしたほうがいいと考える。






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2013年6月24日月曜日

中国のシャドーバンキングの規模


中国の短期金利が跳ね上がったことが注目されている。



これに対しては、噂のシャドーバンキングに圧力をかけるためだとの解説が多い。


ところで、このシャドーバンキングはどの程度の規模なのか?

そもそもシャドーバンキングの定義が難しいという問題もあるが、

格付会社のムーディーズは400兆円以上だと指摘している。



これって、日本の東証の時価総額というイメージ。。。

シャドーバンキングのバブルがクラッシュしたら、中国政府としても救済できない規模ではないだろうか?

徐々にその規模が縮小させていくことが重要だろう。

先週のような急激な金利圧力は、「徐々に」という点では警戒したほうがいいのではないだろうか。

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金融緩和時代の運用の終わりを意識しようでも、論じたように、これからはアメリカの量的緩和の巻き戻しが相場のテーマになる。

中国の信用バブルはもろにこの影響を受けるだろう。

2013年6月14日金曜日

インドネシア、インド、ブラジル、トルコの共通点は何か?


インドネシア、インド、ブラジル、トルコの共通点は何か?と質問されて、即答できる人は、かなりマーケットへのアンテナが高い。

これらの国の共通点は、最近、自国通貨買いの為替介入をしていることである。


間違えないでほしい。

自国通貨「売り」ではなく、自国通貨「買い」の為替介入だ。


円安は歓迎される日本ではなかなかピントこないが、すでに、これらの国は困るほどの「自国通貨安」になっているので、自国通貨買いの為替介入をしている。



アメリカのQE3の縮小観測(=ドル高要因)は、新興国の通貨安を引き起こし、そして、新興国の株式の暴落を誘発している。





新興国でいけば、資本を引きつけるような魅力を提示できるところに選別的に投資していくことが重要だ。

緩和競争が続いてきたが、財政の健全性を重視し、かつ、高金利を投資家に提供できるところが資本を引きつけるだろう。

新興国ならなんでも儲かったような相場が続いたが、もう違う。

金融緩和時代の運用の終わりを意識しよう



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2013年6月13日木曜日

金融緩和時代の運用の終わりを意識しよう



日本にいると異次元の金融緩和の真っ最中のような気がするものだ。

だから、下がったところを買い向かってきた人が多いのではないか。

この数か月続いたアベノミクスのもとでは、それで勝つことができていたから。


今週も、日本銀行が追加の緩和をしなかったから、相場が下がっていると解釈されがちだ。

それも要因のひとつかもしれない。


ただ、ここもと起こっていることの本質は、FRBの壮大な量的緩和の出口に向かっていることだ。

その反応が、厳しい相場を生み出している。




金融緩和のもとでは、さまざまな資産が値上がりしやすい。

市場参加者は、資産の値上がりをエンジョイし続ける。

しかし、金融緩和をいつまでも続けるわけにはいかないのだ。

中央銀行のバランスシートは無限ではないのだから。



資産の価値は将来に期待されるキャッシュフローで決まる。

そのキャッシュフローの見積もり方や割引率に多少の流派はある。

ただ、そんなのは誤差のようなものだ。

金融緩和のもとで、価値以上の極端な価格をつけてしまっているものが問題だ。

金融緩和プレミアムだ。



ここもと起こっているのは、FRBの金融緩和の縮小を控えた、巻き戻し、ポジション解消だ。

金融緩和のもとで価値以上に価格が上がりすぎているものは、金融緩和が縮小することを見据えて、調整されなくてはならない。

金融緩和プレミアムは剥落する。

ただ、リーマン・ショック以降、ことあるごとにFRBはサポートしてくれたので、あちこちで歪んだポジションが構築されてしまっており、その量は甚大だ。



まだ、巻き戻しが終わった感じはしない。



特に今は流動性が落ちている。

乏しい流動性のもとでは、ボラティリティが大きくなりすぎる。

いまは、ナンピンして自分のバランスシートを大きくするのは得策ではない。

中途半端なナンピンをしていると、このあと起こるであろう大相場からはじき出されてしまうだろう。

底値を捉えるのは快感だ。

ただ、最も大事なことは底値を捉えることではない。

帝王ソロスが言っている。

「まず生き残れ。儲けるのはそれからだ。」




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数日前に書いたもの。こちらもご覧いただきたい。

東証マザーズで記録的な損切り。。。まず生き残ろう!


2013年6月6日木曜日

東証マザーズで記録的な損切り。。。まず生き残ろう!


本日の東証マザーズ指数は前日比13%安の757.17まで下落。

下落率でみると、2011年3月14日(▲17.2%)、つまり、東日本大震災以来の記録になる。

たしかに、昨晩のニューヨーク株式の下げはそこそこ大きかったが、大震災を思いだすほどのことではないだろうに。






東証マザーズには、個人投資家に人気のある銘柄が多いので、今日はかなり損失が拡大した人が多いと想像される。



今回の株安で、やはり、資産運用なんてしないほうがいいと感じる向きも多いのではないか。



しかし、資産運用は、今後、ますます重要なスキルとなる。

その中でも鉄則は、「まず生き残る」ことだ。

信用取引やレバレッジの安易な利用は、このような局面で「生き残る」ことを難しくする。

ボラティリティの高い相場はまだ続きそうだ。

ここが底だとパンパンに資金を突っ込むのはやめよう。





この先、大きなチャンスが待っている。

勝負所は今ではない。

まず生き残ろう!


2013年6月5日水曜日

ワインの不当安売りの是正で苦しむのは?



中国商務省は、欧州産ワインに関して、反ダンピング(不当廉売)調査を始めるそうだ。

今次の太陽光パネル関税への報復のようにみえる。


一般的に、例えば、A国の自動車の競争力が非常に高く、B国は自国内の自動車産業が育たないと悩んでいたとする。

そのようなときに、B国はA国の自動車の関税を高めることで、相対的に安くなる自国の自動車がより売れるようにはからうというケースが考えられる。



ただ、欧州ワインはある意味、ほかの地域のワインでは代替できない魅力があるわけで、関税が高まることで欧州の輸出量はどの程度減るのだろうか?

欧州のワイン関係者よりも、中国の一般のワイン愛好家を苦しめるだけのような気が。。。


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2013年6月4日火曜日

ドル円の月足の記録を検証する-プラザ合意にヒント


昨晩はとうとうドル円で100割れなど、足元の動きからも目が離せないが、長期トレンドのことも考えてみたい。



これはドル円の月足のチャート。




なんと月足で8連続の陽線となった。

その前の期間をみるとわかるとおり、相場は上下するものなので、陽線と陰線はよほどのことがないと続かない。

最近の例だと、パリバ・ショック、リーマン・ショック、欧州債務危機などだ。

ただ、それでも、8連続というのはなかなかお目にかかれない。










もっと長くみてみるとこんな感じ。

少々、わかりづらいが8連続というのは、1985円に陰線でみつかる。

このときは何があったのか。

そう。

プラザ合意だ。

当時のG5が合意して、意図的に「ドル安」を巻き起こしたのが1985年だ。



今回の月足8連続というのは、プラザ合意のときのようなエネルギーだということだろうか。


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