2013年7月12日金曜日

金融政策と甘い誘惑


昨晩の米国株は強かった。

ダウとS&Pは史上最高値更新、ナスダックは年初来高値を更新だ。

その背景にはバーナンキFRB議長の「自動的に利上げするわけではない」との発言がある。



5月にバーナンキ議長が金融緩和の縮小を示唆して以降、マネーフローが変わり、新興国からの資金の巻き戻し、米国債の下落などが起こっていた。

それらに対して、配慮したのが上記のバーナンキ議長の意図だと解釈できよう。


5月以降の動きからわかるように、米国の金融緩和の縮小は、本質的には米国経済の復活ながらも、局所的には大きな痛みが発生する。

その痛みは、緩和を縮小すべきタイミングを後ずれさせる誘惑となる。

米国は果たして、適切なタイミングで緩和を縮小させることができるのだろうか。

緩和を縮小できなければ、その時点では株式は上昇するだろう。

多くの人が喜ぶことになる。

しかし、その副作用は大きい。




金融緩和は緩和を拡大することよりも、緩和の縮小、つまり、その出口が難しい。

みな、足元の甘い誘惑に負けてしまうからだ。

さらには、いつかくるその先の痛みはみたくない。

いつまでも緩和してほしいとの声が強まるからだ。





ところで、異次元の金融緩和をしている国がある。

異次元にモルヒネを注入してしまったら、普通の精神力ではその誘惑に勝てないだろう。

異次元の金融緩和の誘惑がどのような結末を迎えるのか?




やはり、一定程度の円売り/ドル買いのポジションを持っていたいものだ。

これは目先の相場で儲けるためというよりも、将来のリスクに備えるためだ。






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