2013年7月25日木曜日

中国経済の成長率の目線はどこか?クラッシュするのか?


中国の株が激しい値動きをみせているが、これと最近の中国の経済成長率の目線を確認してみよう。






①:7%

5月27日、李克強首相が、2020年までに1人当たりGDPを倍増させる目標を達成するためには年率7%の経済成長が必要だとの考えを提示。

これまで、8%の目線に対して、ただ、しばらく8%を下振れるだろうとのレンジ感に対し、7%という厳しい目線が提示された。

上図の上海総合をチェックしてみると、このあと、売りが売りを呼ぶ展開になっていることが確認できる。


②:7.5%

6月29日の新華社通信の報道で明らかになったのだが、李克強首相は6月28日、国内外の有識者らと面会した際に「中国は今年の経済目標(7.5%成長)を達成する条件と能力がある」との見方を提示したそうだ。

これで、①のショックの前に目線が修正される。

上図の上海総合でも、下げ続ける局面からは脱皮できたようだ。


③:7.5%以上?or 7.5%

解釈が難しいが、李克強首相は経済専門家らとの意見交換会で、雇用確保のため、今年の経済成長率が7.5%を割り込んではならないと述べた、と7月23日の新京報で報じられている。

7.5%かもしれないが、少なくとも、言葉のトーンとしては②よりも強いとみてよいのではないか。

これが報じられた7月23日の上海総合は一時2%を超える上昇幅をみせる局面もあった。


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中国はこれまで前政権の負の遺産(例えば、中国のシャドーバンキング)を退治するべく、かなり厳しい経済運営の目線を有してきたと解釈できる。


実際、中国は意図的にバブル退治をしている。

一方で、本稿でみてきたように、李克強首相の発言を丁寧に追っていくと、これ以上負荷をかけてはいけないという目線も定まってきたとみていいのではないか。




中国経済が引き続き、世界経済の大きなリスク要因であることに変わりはない。長期的には警戒してウォッチする必要がある。

しかし、巷で言われているような、この夏にも中国発のクラッシュが起こるというシナリオは避けられるとみている。


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