2013年7月9日火曜日

日本国債は安定したのか?


これは日本国債の10年ものの金利の推移だ。




足元では狭いレンジの中で推移している。

4月4日に発表された異次元の金融緩和以降、日本国債の乱高下が随分と心配されたが、日本国債は安定したといえるのだろうか?



実際には、かなり微妙だ。

日本の場合、月に何度も国債が発行される。

通常の世界なら、発行、つまり、供給増なので、それは値下がり圧力だ。

このグラフなら、金利が上昇する方向に圧力が働く。



一方で、異次元の金融緩和のもとでは、日銀がせっせとオペで国債を購入してくれる。


それを踏まえて、金融機関は、入札で国債を購入し、オペでそれを日銀に売却しているのだ。

短期間保有することで、売却益を狙っていける。

このような動きを多くの金融機関がするので、結果として、金利のレンジが狭くなってしまっている。

健全な恰好で、日本国債が安定推移しているわけではない。




もともと日本の国債市場は売買量が大きく、流動性が高いことが魅力であったが、いまや、最終的なリスクを日銀に移転するだけで、お小遣い稼ぎができる場になってしまっている。



また、違った角度からみると、国債を日銀が直接買っている構図によく似ている。


中央銀行による国債の直接引き受けを禁じるのは、財政の規律を保ち、通貨の価値を守るための叡智だ。




いつの日か、国債だらけになった日銀のバランスシートの健全性が疑われることになるだろう。

それは円という通貨の信認が揺らぐことを意味する。


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