これは日本国債の10年ものの金利の推移だ。
足元では狭いレンジの中で推移している。
4月4日に発表された異次元の金融緩和以降、日本国債の乱高下が随分と心配されたが、日本国債は安定したといえるのだろうか?
実際には、かなり微妙だ。
日本の場合、月に何度も国債が発行される。
通常の世界なら、発行、つまり、供給増なので、それは値下がり圧力だ。
このグラフなら、金利が上昇する方向に圧力が働く。
一方で、異次元の金融緩和のもとでは、日銀がせっせとオペで国債を購入してくれる。
それを踏まえて、金融機関は、入札で国債を購入し、オペでそれを日銀に売却しているのだ。
短期間保有することで、売却益を狙っていける。
このような動きを多くの金融機関がするので、結果として、金利のレンジが狭くなってしまっている。
健全な恰好で、日本国債が安定推移しているわけではない。
もともと日本の国債市場は売買量が大きく、流動性が高いことが魅力であったが、いまや、最終的なリスクを日銀に移転するだけで、お小遣い稼ぎができる場になってしまっている。
また、違った角度からみると、国債を日銀が直接買っている構図によく似ている。
中央銀行による国債の直接引き受けを禁じるのは、財政の規律を保ち、通貨の価値を守るための叡智だ。
いつの日か、国債だらけになった日銀のバランスシートの健全性が疑われることになるだろう。
それは円という通貨の信認が揺らぐことを意味する。
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