これはブラジル・レアルの対USドルの推移。
リーマン・ショックのあとの2009年3月のレベルまで売り込まれている。
現在のブラジルは、そもそも経済が弱い。
新興国だ!とか、ワールドカップだ!とかいうイメージで高成長をしているかと思ったら大間違いである。

そんな中、一番上のグラフの自国通貨安を防衛するために、利上げをしている。
これがますます景気に重荷となっている。
こんな状態なので、海外からの資金はどんどんレアルから逃げていく。
レアル安の悪循環だ。
ブラジルの中央銀行は積極的に為替介入をしているが、全然効果がでていないようだ。
新興国経済がワナにはまった典型的なケースだ。
このように、FEDの金融緩和の縮小は、世界中から資金を引き上げさせてしまう。
この数年、先進国には成長は見込めない、これからは新興国だ!との解説を聞くことが多かった。
が、こう考えたほうがいいのではないか。
先進国は金融緩和のため期待リターンが著しく低下していた。
そのため、資金は相対的に期待できそうな新興国に回っていただけだと。
さらに、その間、豊富な資金のせいで、新興国へのバリュエーション評価が甘くなっていたことも事態を複雑にしている。
先進国、つまり、米国が金融緩和を縮小するのであれば、まっさきに新興国から資金を回収しなくてはならない。
例えば、ブラジルであれば、ブラジルに投資していたレアルを売却し、米国での期待リターン回復に備えるだろう。
ブラジル・レアル安だ。再掲しておこう。
これは歴史が繰り返しているだけだともいえる。
90年代にも、米国発で新興国からの急激な海外資金の巻き戻しが起こっていたではないか。
アジア通貨危機、メキシコ危機、ロシア危機だ。
まだ新興国に投資しているのであれば、当時のことを思い出したほうがいい。
竹森 俊平
朝日新聞社
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