これは主要国の国債(10年もの)の利回り。
各国の国債利回りがひどく低下してます。
特にアメリカの国債の利回りが低位安定していることは、最近の大きなナゾになっています。
これには、
1.「先進国の低成長化」が原因だとする見方が
増えていますが、
今日は、
2.「相対価値のフロー」から考えてみましょう。
欧州債務危機で欧州の国債のプライシングが壊れたのは記憶に新しいところ。その後、政治の混乱はあったものの、ドラギ・マジックでなんとなく回復してしまった。その過程で、壊れたイタリア、スペインの国債はやはり安いということになり、わっさわっさ買われた。そしてその結果、なんとスペインはアメリカよりも利回りが低くなってしまった(債券なので、買われると利回りが低下します)。
こうなってくると、イタリアやスペインの国債を利益確定して、アメリカ国債に乗りかえるファンドが増えてくるわけです。こんな背景でアメリカ国債の利回りがここもと低位安定していると解釈してます。
そこそこの規模のファンドがおしゃれなフローを追っかけている感じでしょうか。
でも、これってミス・プライシングが重なり合った結果だと考えてます。
背景に、欧州債務危機という大きなミス・プライシングがあり、その修正という大きな流れがあった。さらに、ここからECBはマイナス金利という壮大な実験を始めていくところです。これはあちこちでミス・プライシング(ストレス)を引き起こすことでしょう。
市場の規模から考えて、イタリア、スペイン国債の利益確定をしてアメリカ国債に乗り換えるフローなんて、たかがしれてます。
アメリカ国債がいつまでも低位安定していると考えるのは危険でしょう。
もうFRBの量的緩和の縮小は始まっているのですから。
強いドルを享受する旨みを彼らは忘れていない。
イエレンのFRB 世界同時緩和の次を読む
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