2012年9月30日日曜日

皮肉なことに、違った格好で不平等が拡大することだろう



『世界の99%を貧困にする経済』は様々な読み方ができる。






そのなかでも、市場がきちんと機能していないことを、スティグリッツは問題視していることをよく理解したい。




この数年間の経済の低迷について、金融バブルの崩壊が原因だと考える向きが多い。

市場は常に正しいと勘違いし、市場参加者にどんどん好きにやらせてきたわけだ。

その結果、ソブリンを脅かすほどのバクチの負けがたまってしまった。

実はこれがサブプライム問題から欧州債務危機までの構図だ。




スティグリッツは、本書で、市場の透明性が低下していることや、情報の非対称性が利用されていることを指摘している。

これは正しい。

市場が歪んでいればいるほど、バクチの勝率は上がってくる。

歪みを理解していない者から、富を巻き上げることができるからだ。




ボルカールールやバーゼルⅢなど、世界は金融機関への規制を強化する方向へ進みつつある。

これらの規制は、市場の歪みを解消することができるのだろうか?

これらの規制は新たな歪み、バクチのチャンスを提供してしまうかもしれない。

すなわち、皮肉なことに、違った格好で不平等が拡大することだろう。












0 件のコメント: