今回のECBによるプログラムは、「アウトライト・マネタリー・トランザクションズ(OMT)」と名付けられた。
・購入対象は償還までの期間が1-3年の国債で、既発債で残存期間がこれに当てはまるものも含まれる。
・購入後は不胎化措置を実施し、通貨供給量への影響を完全になくす。
・ECBは購入した債券について優先債権者とはならない。
こんな特徴が注目されている。
ただ、もっと大事なポイントがある。
ドラギ総裁は政策決定後の記者会見で、この購入プログラムは「国債市場のひどいゆがみの是正を可能にするだろう。ゆがみは主として、ユーロが逆戻りし得るとの投資家の根拠なき懸念に起因している」と説明していることだ。
マーケットでは、時々、「根拠なき懸念」に悩まされ、あとから振り返ると異常値しか評価できないところまで価格が変動することがある。まさに、今次、欧州の債券市場で起こっていることだ。疑心暗鬼のなかで、とりあえず、保有しているポジションをおりたい、という心理のなかで南欧の債券が売り込まれている。
今回のは、ドラギ総裁率いるECBが強い『意思』をもってして、その「根拠なき懸念」を解消させにいくというプログラムだ。欧州債務問題とは、財政をいかに統合させていくかが重要なので、本質的な解決にはまだまだ数年かかることだろう。ただ、時間がかかるにしても、その解決に向けての『意思』の確からしさが確認されていけば、この数年間のような「根拠なき懸念」はおさまってくることだろう。
今回のECBによるプログラムはそれに向けた強力な武器だと評価できることだろう。
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