2015年3月30日月曜日

加藤出氏が語る日銀のコミュニケーション

いつも鋭い着眼点の加藤出氏の分析を受けて。

今回の加藤氏の主張も肯首できるが、真の問題は、本件後のコミュニケーションをどのようなものにするかではないか。

すでに黒田総裁の性格さえもマーケットでは織り込まれている状態であり、黒田総裁の「メンツ」を保ったまま、コミュニケーションの改善をすることは難しいだろう。

黒田総裁が「自分は間違っていた」、「分かっていなかった」と認めることが、新たな目標を設定の前提と考えると、その実現性には大いに疑問である。


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市場が混惑する二つの理由 日銀が陥ったワナと陰の標的

 第一に、今の政策は「期待に働きかける経路」を重視している。皆が「インフレは2%になる」と信じればこの政策は成功するという。このため、経済指標が悪化し始めても、それを認めて率直に表現することができず、「うまくいっている」と言い続けなければならないワナに日銀は陥ってきた。 第二に、今の政策には「陰のターゲット」がある。円レートだ。日銀が円安誘導を狙ってきたことは明らかだが、国際社会ではそれを言ってはならない。昨年10月は一段の円安を実現することで輸出企業の収益を向上させ、春闘での賃上げにつなげようとした。

「期待に働きかける政策のワナ」と「陰のターゲット」の要因で日銀の説明が分かりにくい状態が続くと、国債市場などが混乱するため危険である。「2年で2%」の「2年」が来る時期でもあり、日銀はここでコミュニケーション政策の整理をいったん行うべきだ。


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